マイクロドライプリンタは金属性の印字ヘッドをインクリボンに押し付け、ヘッドが出す熱によってインクを溶かし、圧力を加えながらインクを用紙表面に転写する。
また、インクリボンを他のもの(指や棒など)で物理的に用紙に押し付けてこすったり、インクリボンを用紙表面にこすれるように動かしたりてもインクは付着する。オフセット印刷やインクジェット用のマットコート紙などのインクの乗りが良くなるように造られた用紙には顕著です。
つまり、データに必要な熱と圧力によって転写されるべきインク以外に、ヘッドの圧力や摩擦などによって不要なインクが付着する、という現象が見られることがあります(カラーレーザープリンタにも、トナーが用紙表面のデータのない領域に静電気力によって僅かに散りばめらて付着する現象がある)。これは、肉眼では、データのない場所で、かすかなインクリボン幅の縞模様や擦れたような筋があることなどでわかります。マイクロスコープで覗くと、ごく小さな変形した粒子が帯状に散りばめられているのが判ります。
インクの乗りが良いものを選びたいのではあるが、不要なインクも乗せてしまうという不可避なジレンマ・・・試し刷りしかないのだが・・・。一般には、平滑な上質紙が宜しいようです。
古い消費期限の切れたインクリボンは表面がボコボコしてきて、それが用紙との不要な摩擦の原因にもなるので、そうなったら新しいものに交換すべきです。
2008/09/26
マイクロドライプリンタの適正用紙の憂鬱
マイクロドライプリンタのPS化 ~ プリンタプロファイルの解析と活用 (2)
前回に続いて、ALPS マイクロドライプリンタ用ICCプロファイルを解析します。下の表は、旧Mac OSのMac OS 9.2.2(やMac OS XのClassic環境用)プリンタドライバver.6.4.6 に組み込まれるColorSync用ICCプロファイルの一覧(旧ブログより)です。
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(*1)MD-1300用 (*2)MD-2300S用 (*3)MD-5000P用 (*4)MD-5500P用 (*5)MD-1000 MD-1300 MD-1500用 (*6)光沢仕上げインク使用 |
※MDP Monitor-D50は色温度5000Kのモニタ用ICCファイルですが,特に必要はありません。モニタの色温度を5000K~6500K程度にキャリブレーションしたモニタのICCプロファイルがあれば十分です。
判りやすいように、ICCプロファイルとWindows2000/XP用ドライバVer.2.3.2 で明示される印刷モード,解像度,ハーフトーン(線数),用紙の種類とを対応させています。(ただし、この対応は当方が所有する ALPS MD-2010S及びMD-5500のOS(Windows XP、Mac OS 9.2.2)用ドライバの機能から比較推定したものであることをお断りしておきます。)
これらのプロファイルはプリンタドライバをインストール時にMac OS 9.2.2では、「システムフォルダ/ColorSyncプロファイル」にコピーされます。そして、プリント時に、カラーマッチングをColorSyncにした場合に、自動的にプリンタに割り当てられます。ALPSはColorSync以外のカラーマッチングにプロファイルを使うことは保証していません。
前回の Mac OS X ColorSync用ICCプロファイル との対応はファイル名を見れば明らかです。どちらのICCファイルとも、Mac OS X 付属のColorSyncユーティリティで調べる限り、同じものであると思います。これらを Mac OS X のフォルダ「ライブラリ/ColorSync/Profiles/」にコピーしておけば、Adobe IllustratorやPhotoshop等のアプリケーションから使用可能になります(Mac OS Xによるカラーマッチング(ColorSync)には使えません)。
最も使用頻度が高いのは、2400dpi、160lpi用プロファイルの「MDP VDPhoto/Fine」だと思います。マイクロドライプリンタPS化システムにおいてクライアントにな るMac OS X や Windows OS のアプリケーション側のカラーマッチングで十分使えます。
ラベル: MD-5500, MD-5500P, MDプリンタのPS化
2008/09/23
マイクロドライプリンタのPS化 ~ プリンタプロファイルの解析と活用 (1)
マイクロドライプリンタPS化システムにおいてMacintosh OS(旧Mac OSとMac OS X)用に提供されるプリンタプロファイルを使ってみよう。
というわけで、まずは、Mac OS X 10.4.11(PPC)用のICCプロファイルを解析してみることにします(以前のブログより修正、加筆)。
下の表は、Mac OS X(Mac OS X 10.4.11(PPC))用プリンタドライバver.1.0.2に組み込まれるColorSync用ICCプロファイルの一覧です。
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(*1)MD-1300用 (*2)MD-5000P用 (*3)MD-5500P用 (*4)光沢仕上げインク使用 |
これらは、ドライバのインストール時に、「ライブラリ/Printers/ALPS/MicrDryPM.plugin/Contents/Resouces」にコピーされます。そして、プリント時に「プリント」ダイアログの「カラー設定」で「カラーマッチング:ColorSync」とした場合に、その他の「カラー設定」や「メディア設定」等に対応したプロファイルが自動的にプリンタに割り当てられます(出力解像度や線数などは明示されない)。
判りやすいように、12種類のICCプロファイルと Windows2000/XP用ドライバVer.2.3.2 で明示される印刷モード,解像度,ハーフトーン(線数),用紙の種類とを対応させています。(ただし、この対応は当方が所有する ALPS MD-5500 のOS(Windows XP、Mac OS X 10.4.11(PPC)、Mac OS 9.2.2)用 ドライバの機能から比較推定したものであることをお断りしておきます。)
通常の使用では、ユーザーがICCプロファイルを見ることはないが、Adobe Illustrator や Photoshop 等のアプリケーションを通して(プリントスペースのプロファイルのプルダウンメニュー)見ることができます。ただし、ICCプロファイルはColorSync用であり、ここでプロファイルを指定することはありません(カラーマッチングでColorSyncを指定する場合、一般に、プリンタ独自のプロファイルは指定してはならない)。したがって、ALPSは、プリントスペースでALPSのプリンタプロファイルを指定することは想定外であり、保証していません。
上表を作成するにあたり,改めて各OS用ドライバの印刷機能を調べていく中で気付いたことがあります。Mac OS Xでは印刷解像度や 線数はユーザーからは見えなくなっていることに加えて、VDフォトカラー印刷では,Mac OS9やWindows用プリンタドライバでいう 解像度2400dpi、出力線数(ハーフトーン)160lpi の印刷は印刷本紙のみの対応であるということです。メディア設定で普通(コピー)紙や平滑紙を選んだ場合、自動的に2400dpi、145lpiに固定され、それしか(MFインクを使っても)出力しないということです(160lpiで出力するには、メディア設定で「印刷本紙」を選ぶしかない)。これはWindows2000/XPで160lpiや145lpi印刷したものと比べた結果です。マニュアルにもALPSのWebにもこの辺の記述がないようです。間違いがあればご指摘お願いします。
このように、印刷本紙以外(ハイグレードペーパーや一般の平滑な上質紙)に対応した「160lpi印刷用ICCプロファイル」が存在しないことが、マイクロドライプリンタPS化システムのWindows用ドライバが主流(?)とする160lpi印刷にとって不都合となってきます(印刷結果の明らかな違いを気すればだが)。
その対応も含めて、次回(マイクロドライプリンタのPS化 ~ プリンタプロファイルの解析と活用 (2))へ続く・・
ラベル: MD-5500, MD-5500P, MDプリンタのPS化
2008/09/05
マイクロドライプリンタ御用達(?) 印刷ユーティリティ
マイクロドライプリンタには、他に類をみない「ページ合成」という大変に有効な機能があります。しかし、この機能は、一連のプリンタによる印刷動作の中で、「プリント動作が一担停止し、再度ユーザーに手動によるプリント操作を要求する」という手間のかかる機能でもあります(マイクロドライプリンタユーザには今更の説明ですが ^^;)。ましてや、ページ合成を2、3度使い、且つ50枚印刷などという印刷枚数が多い場面(どんな場面なんだ(笑))では、とてもやってられない。
・・・この一連の操作を一発でやってしまいたい・・・
というわけで、この目的に適う印刷ユーティリティとしては、
「DirctPrn」
「PrnOut」
というフリーウエア(Windows用)があります(Windows2000/XPで動作確認済み)。
これらは、prnファイルを直接プリンタに送って、アプリケーション無しで印刷するというものです(詳しくは付属のドキュメントファイルや関連Webを参照)。prnファイルとは、出力ポートを「FILE:」にしてプリントすると出力されるファイルのことです。デフォルトでは拡張子は付かないが、判別のために拡張子を「prn」(PSファイルのときは「ps」)とすることが多い(?)
マイクロドライプリンタにおいては、例えば、仮にページ合成を1度だけ使って印刷物を作成するとして、そのためのプリント動作が次のように2段階を経るとします。
プリント動作A(「ページ合成」使用)
プリント動作B
(動作Aが終了した後に一端プリンタが停止する。次に、ユーザーが再度アプリケーションを操作して次の動作Bが再開する、ということです。)
そこで、まず、それぞれのプリント操作時にプリンタドライバ内で出力ポートを「FILE:」にして、ファイルとして出力します。その時に、それぞれの出力ファイルに拡張子prnを付けて適当に名前を付けます。
プリント動作 A --> PrintA.prn
プリント動作 B --> PrintB.prn
次に、これら2つのprnファイルを上記のユーティリティ(DirctPrnやPrnOut)に操作順に読み込ませてプログラムを実行します。すると、PrintA.prnの出力に続いて(一瞬?の一端停止があった後)PrintB.prnが出力されます。
一般に、「ページ合成」機能の使用回数が多い場合は、それに応じたprnファイルを追加してやればよいことになります。
他にも、prnファイルを直接プリンタに出力するWindows用ユーティリティには、次のようなものがあります(使用の可否は不明)。
「PRNPrint」(日本語 フリーウエア)
「Batch & Print Pro 3」(英語 シェアウエア free traial版あり)
ラベル: MDプリンタのPS化