2008/08/09

マイクロドライプリンタのPS化 ~ 実践 CMYKデータ (1)

今回は、「マイクロドライプリンタのPS化」システムで、CMYKデータを印刷してみます。

CMYKデータを通常のGDIプリンタで印刷していては、作成者の意図しない結果になる場合があります。CMYKデータはPSプリンタからの出力がベストです。マイクロドライプリンタのインクカセットに巻かれたインクリボンのC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のそれぞれの色合いは、商業印刷におけるCMYKそれぞれの100%の色合いと一致してはいないが、近いものはあります。よって、PSファイルを作成出力可能なアプリケーション(Adobe Illustrator等)でCMYKデータを作り、それをそのままマイクロドライプリンタ用のCMYKインクで再現させることが可能ならデータ作成者の意図が印刷物に反映されることになるでしょう。ALPSは、MD-5500に「マイクロドライリップ」を組合わせたPSプリンタシステムを用意しているが、もはや過去の遺物であり、出力線数にも不満があります。そこで、より繊細な印刷結果(出力線数 160lpi)が得られるこの簡易なPS化システムに利用価値が生まれてくるのではないかと思います。

[データについて]
マイクロドライプリンタに適した印刷物の一つである名刺をAdobe Illustrator 10.0.3 のCMYKモードで作成し、印刷した(作成したデータは、でっち上げたものですので、ご容赦くださいませ)。
カラー領域(ロゴ(AYM)と直下のカラー文字部分(A、Y、M))の色は、Illustrator付属のPANTONEの特色ライブラリーから選び、それらの色をK成分なしのCMY3色で表すようにシュミレートした(*1)。

グレースケール領域(K20%とK100%の文字部分)は、ここでは、出力線数85lpi(スクリーン角度45度)で印刷する(*2)。

[用紙、インクカセット]
用紙:名刺用紙(厚口マット紙)
用紙サイズ:A6(カスタムサイズ)
インクカセット:紙用シアン、紙用マゼンタ、紙用イエロー、紙用ブラック

データ作成から印刷までの手順
1.Illustrtator 10.0.3にて、書類のカラーモードをCMYKカラーで新規作成して、上記([データについて]参照)のようにデータを作成する(この時、フルカラー領域とグレースケール領域を異なるレイヤーに分けておくと便利)。

2.まず最初に、グレースケール領域(ロゴ以外)を「ページ合成」機能を使って印刷し(A)、引き続いて4色カラー領域(ロゴ)を印刷する(B)、という順序をとります。

A.グレースケール領域の印刷

(1) カラー領域を隠(非表示に)し、グレースケール領域のみを表示する。
(2) Windows用プリンタドライバ の「標準の設定」を設定する。
 [プリンタとFAX]を開き、「ALPS MD-5500P」アイコンを右クリックしてプロパティを開く。
 [詳細設定]タグの[標準の設定]ボタンをクリックする。
 [ALPS MD-5500P 標準の設定]ダイアログから、以下のように設定する。

 [基本設定]タグ-------------------------------------------
 ドキュメント設定:自動
 用紙の種類:厚紙
 印刷設定:
  特色印刷 のチェックをしない。
  印刷モード:VDフォトカラー
  [詳細設定]ボタンをクリックする。
   印刷品質:解像度 2400dpi ハーフトーン 160lpi
   MFインク/光沢仕上げオプション:どちらのチェックもはずす。
  [OK]ボタンをクリックする。
  他の必要事項を確認して[適用]ボタンをクリックする。
 [用紙]タグ ---------------------------------------------
 用紙サイズ:A6 (自由用紙サイズで登録済)
 紙送り:ページ合成をチェックする。
 他の必要事項を確認して[適用]ボタンをクリックする。
 [イメージ調整]タグ ----------------------------------------
 カラーマッチ:「なし」をチェックする。
 他の必要事項を確認して[適用]ボタンをクリックする。
[OK」ボタンをクリックしながら[標準の設定]、「ALPS MD-5500P」のプロパティを終了する。

(3) クライアント(Mac OS X)に戻り、Illustrator 10.0.3 の[ファイル]メニューから[プリント]を選び、[プリント]ダイアログから、次のように設定し、[プリント]ボタンをクリックする。
 プリンタ:MDPusr-5500P
 プリントスペース
  プロファイル:カラースペースを変換しない
 [プリント]ボタンをクリックする。
(4) しばらくして、サーバー側のデスクトップに「ALPS MD-5500P-Status Monitor」が起動して、印刷が始まり、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの順に印刷される。ページ合成機能を指定しているため、グレースケール領域の印刷終了後、一時的に紙送り停止状態になる。

引き続き、フルカラー領域の印刷に移ります。

B.フルカラー領域の印刷

(1) グレースケール領域を隠し、フルカラー領域のみを表示させる。
(2) Windows用プリンタドライバ の「標準の設定」を設定する。
 [プリンタとFAX]を開き、「ALPS MD-5500P」アイコンを右クリックしてプロパティを開く。
 [詳細設定]タグの[標準の設定]ボタンをクリックする。
 「ALPS MD-5500P 標準の設定」ダイアログから、以下のように設定する。

 [基本設定]タグ-------------------------------------------
 上記Aの(2)に同じ。
 [用紙]タグ ---------------------------------------------
 用紙サイズ:A6 (自由用紙サイズで登録済)
 紙送り:ページ合成のチェックをはずす。
 他の必要事項を確認して[適用]ボタンをクリックする。
 [イメージ調整]タグ ----------------------------------------
上記Aの(2)と同じ。
[OK」ボタンをクリックしながら[標準の設定]、「ALPS MD-5500P」のプロパティを終了する。

(3) クライアント(Mac OS X)に戻り、Illustrator 10.0.3 の[ファイル]メニューから[プリント]を選び、[プリント]ダイアログから、次のように設定し、[プリント]ボタンをクリックする。
 プリンタ:MDPusr-5500P  プリントスペース
  プロファイル:カラースペースを変換しない
 [プリント]ボタンをクリックする。
 ここも、上記Aの(3)と同じである。
(4) しばらくして、サーバー側のデスクトップに「ALPS MD-5500P-Status Monitor」が起動して、印刷が始まり、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの順に印刷される。

[印刷結果のスキャン画像]

[ロゴカラー領域を拡大]


[グレー領域(K=20%)を拡大]

(*1)CMYKからなるハーフトーンの印刷において、CMYのそれぞれはそれぞれのインク単独で印刷されるが、Kだけは(K=100を除いて)CMYKの4色で印刷される。そうなると、例えば、C=40、M=Y=0、K=40 のようなデータがあった場合、印刷時この K=40 のために更にCとMとYのインクが入ってくることになる。こういうふうに、データにK成分があることで余分に塗り重ねられるインクがあるためにデータのエッジに余計なギザギザ感が出たり、インク層が更に厚くなったために摩擦でインクが剥がれ易くなったりすることがある。これ等を避けるために4色カラーをCMYの3色以下でシュミレートする試みもマイクロドライプリンタでは有効かもしれない。

(*2)グレースケール(CMY=0、K>0)だけで作ったデータを表示、印刷させると、85lpi、スクリーン角度45度で出力される。よりオフセット印刷ライクで、好ましい結果が得られる場合があります。これに対して、カラー領域とグレースケール領域を混在させて一度にフルカラー印刷すると、グレースケール領域のハーフトーンがCMYKの4色で印刷されてしまう。

今回も「ページ合成」機能を使う必要性から、二段階の印刷過程を経なければならない。このことは、多数枚印刷する名刺では煩わしいものです。これを解決するのに、前回述べたような印刷ユーティリティの使用が有効かもしれない。(つづく)

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